肛門外科で診療する主な疾患は、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)、肛門周囲膿瘍(膿の溜まり)などです。症状としては出血、痛み、肛門の痒み、残便感などがあります。
治療には薬物療法、注射療法、手術療法があり、正確な診断をした上で、最も適切な方法を選択します。
場所が場所なだけに、なかなか相談に来られず、ひとりで悩んでいる方も少なくないかと思いますが、劇的に症状が改善することもあります。また、直腸がん、肛門がんなど、重篤な病気が隠れていることもありますので、恥ずかしがらず、お気軽にご相談ください。
内痔核は、ほとんど痛みを感じること無く進行します(初期は出血する程度)。
進行して痔核が大きくなると、脱出(脱肛)するようになります。脱出も初めのうちは指で押し込めば戻りますが、さらに進行すると戻らなくなり、痛みを伴うこともあります。
I度: | 排便時に肛門管内に膨らんでくる程度の痔核 |
Ⅱ度: | 排便時に肛門外に脱出するが、排便が済めば自然に戻る程度の痔核 |
Ⅲ度: | 排便時に脱出し、指で押し込まないと戻らない痔核 |
Ⅳ度: | 常に肛門外に脱出している痔核 |
肛門縁から1~2㎝くらい中へ入ったところに、直腸と肛門の境があります。ここを歯状線と言います。
この部分は、ふつうの皮膚よりもややつやがあり、白っぽく見えて、全周に細長い凹凸(肛門乳頭)が並んでいます。さらにこの歯状線より奥は、ピンク色をした直腸粘膜へと続いています。
肛門ポリープとは、この歯状線付近の移行上皮からできている肛門乳頭に発生する炎症性・線維性の肥厚、または硬いしこりのことです。
原因としては繰り返す下痢・便秘、裂肛、痔核、痔瘻などによる歯状線付近の慢性的な刺激や炎症だと考えられています。